学校に新しい教科が増えます。道徳です。
これまでは教科じゃなかったの?何が変わるの?宗教の授業は?など、気になることをまとめてみました。
道徳の教科化とは

第二次世界大戦後の修身廃止、1958年「道徳の時間」新設などを経て、これまでも道徳の教科化は長く議論されてきたことです。
2007年にも道徳教科化の動きがありましたが、実現されず、見送られました。
しかしついに、文部科学省が学校教育法施行規則を改正し従来の「道徳」を「特別の教科である道徳」とし、学習指導要領の一部改正を行うという告示が平成27年3月に公表されました。
こうして、小学校は2018年度から、中学校は2019年度から、教科としての「特別の教科道徳」がはじまることなったのです。
どうして教科化されるの?
これまでも道徳は教育において重要であると考えられていました。
しかし学校によって指導や成果に差があること、他教科に比べて軽んじられやすいこと、形骸化した指導になっていることなど多くの課題もありました。
インターネットの普及、グローバル化などの社会背景の変化や、いじめ事件が後をたたないこともきっかけとなりました。
そうしたことをふまえ、改善と充実がはかられるようになったとされています。
それまで教科じゃなかったの?
「特別な教科」となることが決まった道徳。では、これまでは教科じゃなくて何だったのでしょうか。
これまで道徳は「教科外活動」という位置づけでした。つまり、クラブ活動と同じだったのです。
国語・算数などの一般教科は、数字による評価があり、国の検定教科書があり、中学以降は教科担任が指導します。一方、教科外活動であったこれまでの道徳では、これらのどれもありませんでした。
そのため一部私立学校によっては、シスターなどが教壇に立ち、聖書などを使って道徳に代わる授業をしていました。
何がかわるの?かわらないの?

「特別な教科」となることで、道徳教育の何が変わるのでしょうか。
検定教科書ができる
これまで道徳の授業では、資料として、文部科学省監修の道徳資料「私たちの道徳」の他、教員の選んだ絵本などが使われていました。
今回の教科化にあたっては、道徳の検定教科書が作られることになったのです。
内容的には、これまでも親しまれてきた道徳説話や「私たちの道徳」と共通する部分が多いとされる一方、話題のスポーツ選手を取り上げたり、従来の反省から「考える道徳、議論する道徳」にウエイトがおかれるなど、意欲的な部分も多く見られます。
パン屋さん問題

道徳の検定教科書でもっとも話題になったのは、パン屋さん問題ではないでしょうか。
これは、「我が国の郷土の文化と生活に親しみ、愛着を持つこと」という指導要領の観点から、検定前の「パン屋さん」から「和菓子屋さん」に変更になったというもの。
当然ですが、全国のパン屋さんの怒りを買いました。
これについては、パン屋さんが不適切なのではなく、和菓子屋さんのほうが伝えるべき内容について適していたということで誤解もあったようですが、この問題ひとつとっても道徳というものを教科として扱うことの難しさを感じます。
より体系的に
教科化することにより、いじめの問題への対応の充実をはかること、発達段階をより踏まえた体系的な内容になるともしています。
授業時間の確保
授業時数はこれまでと変わらず小学校一年生は年間34単位時間、そのほかは年間35単位時間、週1時間の授業です。
この授業時間を、教科化することでよりしっかりと確保するねらいがあります。
道徳専門の教員免許はなし
しかし、指導をする道徳専門の教員免許は設けません。
教科担任ではなく、従来どおり学級担任による指導のままです。
評価は?中学・高校受験は?

道徳が教科化されるにあたって気になるのはその内容だけではありません。
評価や、受験への影響も心配なところです。
この点について、文部科学省は次にように答えています。
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Q 道徳が「特別の教科」になり,入試で「愛国心」が評価されるというのは本当ですか?
道徳が評価されると,本音が言えなくなり,息苦しい世の中にならないか心配です。
A 道徳科の評価で,特定の考え方を押しつけたり,入試で使用したりはしません。
評価はつきますが、数値ではなく文章による評価となるということです。
宗教校の授業はどうなるの?

ミッションスクール、仏教校の宗教の時間はどうなるのでしょうか。
従来は、学校教育法施行規則第50条第2項第79条「宗教をもって道徳に代えることができる」という法的根拠から、道徳は宗教で代替できるということになっていました。
今回の学習指導要領改訂でも、私立学校は道徳の代わりに宗教の授業を行うことについては、可能であるとしています。
私立のキリスト教、仏教をはじめとした宗教校における「宗教による代替」は維持されます。
まとめ

大きくかわるのは、検定教科書の導入と文章による評価の二点。
私学の小学校に通う娘を持つ身としては、宗教校の宗教の授業が維持されたことに安堵しています。
私学ならではの独自性が守られることに繋がる結果となったからです。
現場の先生方はさぞ大変だろうと思いますが、良い改訂になることを願います。
出典:文部科学省 道徳教育







